大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和26(れ)965 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

各弁護人の上告趣旨はいずれも末尾添附別紙記載のとおりでありこれに対する当

裁判所の判断は次ぎの如くである。

弁護人布施辰治の上告趣意について。

所論は結局事実誤認の主張に帰するのであつて、上告適法の理由にならない。な

お原審認定事実は、その挙示する証拠からこれを認めることができるのであつて、

所論のような経験則違反の点も理由不備の点も存しない。

弁護人神道寛次、同布施辰治の上告趣意第一点について。

相被告人が第一審の公判で供述したところを原審公判廷で取消したからといつて、

第一審の供述が証拠力を失うものではない。そのいずれを採用するかは原審の自由

なる心証に委ねられているところである。

なお右相被告人の第一審公判廷における供述が任意になされたものでないと疑は

れるような資料は存しない。その他記録を精査しても、所論の如き違法はない。

同第二点について。

被告人が怪我をしていたことは認められるが、原審公判廷における被告人の供述

(一二四丁)によれば、医者へは一人で通つていたのである。所論の様な証言があ

るからといつて、これによつて被告人が本件強盗に関係なかつたものと認めなけれ

ばならないものではない。原判決には、経験則違反、審理不尽の違法はなく、又所

論のような主張は旧刑訴三六〇条第二項の事由にあたらないから、特にこれに対し

て判断を下す必要はない。

同第三点について。

原審が所論の如くA外一名に対する強盗被告事件記録中証人Bに対する判事の証

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人訊問調書と所論被害届中の記載を証拠に採用している。右証人の証言は、同人が

昭和二三年三月三一日の夜原判示会社工場に宿直し、五人組のピストル強盗に襲は

れ、強盗によつて縛り上げられた事実関係を内容とするものであり、原判示の被害

届には、昭和二三年三月三一日午後一一時三〇分頃判示会社に六人組位の強盗犯人

侵入し原判示の物品の被害があつた旨の記載があるのである。所論の如く無関係な

証拠によつて事実を認定したものではない。原判決には理由不備の違法はない。所

論は独断に基ずく見解で取るに足りない。

よつて旧刑訴法第四四六条に従つて主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員一致の意見である。

検察官 田中巳代治関与

昭和二六年八月九日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

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